記事タイプ: 食事・栄養ガイド

健康維持や症状改善を目的とした食事・栄養に関するガイド記事

  • 【後編】運動より3倍痩せる!? 乳がん術後の体脂肪を落とす「我慢しない」食事とお酒のルール

    乳がん治療後、「前と同じ生活なのに、なぜかどんどん脂肪が増えていく……」と悩んでいませんか?前編でお届けした「体力・筋肉・骨を守る運動編」に続き、後編では多くの女性が直面する「体脂肪」のお悩みにフォーカスします。マンマリア理事長の尹玲花(いん れいか)先生と、リオールジム代表の奥松功基(おくまつ こうき)さんの対談から、世界中の研究データに基づいた「圧倒的に結果が出る食事メソッド」と、気になる「お酒・大豆・乳製品」との付き合い方についてお届けします。
    運動よりも「食事が3〜4倍痩せる」という事実

    尹玲花医師(以下、尹):
    治療の影響もあって体重が落ちにくくなったとき、まず何から始めるべきですか?
    一生懸命アクアビクスや水泳に通っているのに体重が落ちない、というご相談もよく受けます。

    奥松功基さん(以下、奥松):
    結論から言うと、圧倒的に「食事」が重要です。
    筑波大学での肥満・ダイエット研究を含め、運動と食事のどちらが痩せるかという比較研究をたくさん重ねてきましたが、食事を見直すほうが3〜4倍も早く、確実に結果が出ます。

    運動で消費できるカロリーは、頑張っても1回200kcal程度。
    エクレアを食べてビールを1缶飲めば、すぐにその2倍のカロリーを摂取してしまいます。
    運動は週に数回しかできませんが、食事は1日3回、週に21回も調整のチャンスがあるんです。

    尹:
    「運動したから、ご褒美にこれ食べちゃおう!」
    という甘いマインドは、体重を落とす段階ではぐっと堪えないといけないわけですね。

    食事を見直すほうが、運動より3〜4倍早く確実に結果が出ます。
    食事は1日3回・週21回の調整チャンスがあります。

    食事と運動の比較イメージ
    ダイエットは「買った瞬間」にほぼ決まる!
    ABダイエットの秘密

    奥松:
    ここで僕が提唱しているのが、NG食材を作らない「AB(エービー)ダイエット」です。
    ジムではよくこんな俳句をお伝えしています。

    「ダイエット 買った瞬間 ほぼ決まり」

    実は、スーパーでカゴに入れた時点で、その日の摂取カロリーの大部分は決まっています。
    たくさん煮込んでもお肉の脂は意外と抜けません。
    焼いたり煮たりする調理法よりも、「何を買うか」がすべてなのです。

    食材グループ 特徴 具体的な食材例
    A食材(何倍食べても太りにくい) 100gあたり120kcal未満のヘルシー食材 魚介類(イカ・タコ・エビなど)、野菜全般、果物、皮なしの鶏肉
    B食材(美味しいけれど量に注意) 100gあたり120kcal以上の高カロリー食材 牛肉・豚肉(赤身含む)、脂ののった魚(サバ・サンマ・ブリ・鮭)、白米、パン、麺類、オイル類

    奥松:
    ポイントは、B食材を「1日4回以内」におさめること。
    これだけで、女性の場合は1ヶ月に1kgペースで体重が落ちやすくなります。

    尹:
    この表、私の家の冷蔵庫にも貼ってあります。
    「お腹いっぱい食べないでください」ではなく、「食材を選んでお腹いっぱい食べましょう」というのが嬉しいですよね。

    奥松:
    最近はコンビニも優秀です。
    サラダチキンだけでなく、パックに入った「ししゃも」や「サバ」などのお惣菜シリーズはおかずとしてとてもおすすめです。
    また、当ジムで10kg〜24kg以上の大幅なダイエットに成功した方々が共通して食べていたのが、コンビニの「具だくさん野菜スープ」です。
    300〜400円で美味しくて満足感が高く、野菜(A食材)なので減量向きです。

    「ダイエット 買った瞬間 ほぼ決まり」。
    A食材中心の買い物習慣と、B食材を1日4回以内に抑えるだけで、月1kgペースの減量が見えてきます。

    ABダイエットのイメージ
    気になる「お酒・大豆・乳製品」との付き合い方

    尹:
    よく患者様から「大豆製品や乳製品は食べちゃダメですか?」
    と聞かれますが、医学的に「食べてはいけないダメな食品」はありません。むしろ大豆成分は乳がん予防に良いというお話もあります。
    乳製品に関しても、チーズや生クリームなどに含まれる「脂肪」を取りすぎないように気をつければ大丈夫です。

    奥松:
    癌の診断後、極端に「砂糖を一切断つ」「野菜しか食べない」など食生活をガラッと変える方がいますが、私たちの追跡調査では「4年経つと見事に元の食事に戻っている」ことが分かっています。
    再発予防の面では「適正体重をずっと維持し続ける」ことが最も重要なので、好きなものをある程度食べながら、長期的に続けられるコントロールが大切です。

    尹:
    お酒の量に関するご質問も多いです。
    筋トレとお酒の関係はどうですか?

    奥松:
    お酒(アルコール)には筋肉を分解する作用があり、タンパク質も入っていません。
    ただ、通常の飲酒量であれば「筋トレの効果をゼロにする」ほどの悪影響はないので、しっかりトレーニングをしていれば筋肉はつきます。
    ご安心ください。

    尹:
    乳がんのリスクという観点では、アルコール量に比例してリスクが上がることが分かっているため「飲まないに越したことはない」というのが医学的な回答です。
    適量の目安としては「1週間にワイングラス2杯程度」
    毎日缶ビールで晩酌をされている方は、カロリーの面でもアルコールの面でも少し飲み過ぎになっているかもしれませんので、見直すきっかけにしてみてください。

    尹:
    今日から取り入れられる工夫がたくさんありましたね。
    皆さんもぜひ、「昨日の自分を少しだけ超える」気持ちで、できるところから始めてみてください。

    医学的に「食べてはいけない食品」はありません。
    好きなものをある程度食べながら、長期的に続けられるコントロールが再発予防の鍵です。

    奥松:
    僕たちのジム(リオールジム)は、銀座に2号店となる路面店をオープンしました。
    高性能な機械での筋肉量・脂肪率の測定から、今日お話しした体力測定、ABダイエットを活用した個別の食事アドバイスまで行っています。
    初回体験も実施中ですので、ぜひお気軽に頼ってくださいね。

    食事コントロールのイメージ
    登場人物プロフィール

    尹 玲花(いん れいか)
    医療法人社団マンマリア 理事長。
    乳腺専門医。
    乳がん・婦人科医療の専門家として、患者に寄り添う診療を実践。

    奥松 功基(おくまつ こうき)
    リオールジム代表。
    スポーツ医学博士。
    乳がん経験者向けの運動・食事指導のエビデンスに基づき、多くの女性のカラダ再生をサポート。
    著書に『乳がん治療後「疲れやすくなった・脂肪が増えた・筋肉が減った」を改善する本』(金原出版)。

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